日経平均は反落スタート、米株安・円高とギリシャ政局を懸念

寄り付きの東京株式市場で日経平均は反落。下げ幅は一時200円を超えた。

前週末の米国株が軟調だったほか、為替が円高方向に振れていることから、主力輸出株中心に売りが先行した。総選挙後のギリシャ政局への懸念も、相場の重しとなっている。

 

鉄鋼、自動車、機械がさえない。半面、倉庫・運輸、ゴム製品はしっかり。

日本時間の26日朝に判明したギリシャ総選挙では、最大野党の反緊縮派、急進左派連合(SYRIZA)が勝利と報じられている。

新政権がユーロ圏諸国に対し債務減免や財政緊縮の条件緩和などの要求を強めれば、緊縮を求めるドイツなどとの軋轢が深まり、次回の支援策実施が不透明になりかねないとの見方も出ている。

また、前週は欧州中央銀行(ECB)による量的緩和決定の前後に世界的な株高となったことから、反動による利益確定売りも多いとみられている。

財務省が26日に発表した12月貿易統計速報によると、貿易収支(原数値)は6607億円の赤字となった。赤字は 30カ月連続。輸出が円安と数量増で2桁の高い伸びとなる一方、原油価格の下落で輸入の伸びが抑えられ、赤字幅は前年同月の1兆3071億円から大幅に縮小した。

市場では「貿易赤字が縮小しポジティブ。輸出増が原因だが、1月以降は原油安から交易条件の改善が顕在化し、早ければ2月にも貿易黒字となる可能 性がある」(大手証券)との見方が出ている。

 

 

「格差拡大型」経済にNO ピケティ氏の定理で読み解く20年間の“元凶”

そのコアは「資本収益率が産出と所得の成長率を上回るとき、資本主義は自動的に、恣意(しい)的で持続不可能な格差を生み出す」という 定理だ。

 

日本はどうか。法人企業統計(財務省)からとった総資本経常利益率を「資本収益率」に、国内総生産(GDP)の実質成長率を「産出と所得の成長率」にみなして、それらの推移を追ってみた。

1997年度以降、資本収益率が実質成長率を一貫して上回っている。

それまではおおむね成長率の方が収益率を上回ってきた。下回ったときは石油危機、プラザ合意による急激な円高、90年代前半のバブル崩壊というふうな 「ショック効果」と言うべきで、成長率は1、2年で元通り収益率を上回る軌道に回帰している。

ピケティ氏の定理を前提にするなら、日本経済は97年度以降、「格差」の時代に突入したことになる。

97年度といえば、橋本龍太郎政権が消費税増税と公共投資削減など緊縮財政路線に踏み切り、日本経済は一挙に慢性デフレ局面にはまりこみ、いまなお抜け出られないでいる。

デフレは格差拡大の元凶である。

一般に現役世代の賃金水準が下がるのに比べ、預金など金融資産を持っている富裕層はカネの価値が上がるのでますます豊かになる。給付水準が一定の年金生活者は有利だし、勤労者でも給与カットの恐れがない大企業や公務員は恵まれている。

デフレで売上額が下がる中小企業の従業員は賃下げの憂き目に遭いやすい。デフレは円高を呼び込むので、生産の空洞化が進み、地方経済は疲弊する。若者の雇用の機会は失われる。

慢性デフレの局面で、とられたのが「構造改革」路線である。

97年の金融自由化「ビッグバン」で持ち株会社を解禁した。2001年に発足した小泉純一郎政権は米国からの各種改革要求に応じた。

製造業の派遣労働解禁 (04年)など非正規雇用の拡大、会社法(06年)制定など株主中心主義への転換などが代表例だ。

法人税制は98年度以降、02年度までに段階的に改正され、持ち株会社やグローバルな企業の事業展開を後押ししている。

大企業や銀行の国内外からの配当収入はほぼ無税だ。

このパターンでは経済成長率を押し上げる力が弱い。

GDPの6割を占める家計の大多数の収入が抑えられるからだ。
名目賃金上昇率から物価上昇率を差し引いた実質賃金上昇率は 97年以降、ほぼ一貫してマイナスである。
賃金はマイナス、配当はプラスでも需要減・デフレ・賃金下落という悪循環だけが残る。

安倍晋三首相が本格的に取り組むべきは、20年間の日本経済の基本路線となってきた格差拡大経済に決別し、旧世代や次世代を支え、養う現役世代を勝者にさせる政策への転換ではないか。

 

初日からボラタイルな「官製相場」、2015年の展開暗示か

新年初日の東京市場は、動きの激しいボラタイルな展開となった。ギリシャの政情不安など海外の不透明感が強いにもかかわらず、特段の材料がないまま 日本株はマイナス圏から急反転。日銀のETF(上場投資信託)購入を期待した買いが入るなど「官製相場」への期待が株価を押し上げた格好で、ドル/円も切り返した。緩和マネー主導で大きく振れる今年の相場展開を暗示しているようだとの声も出ている。

<日銀ETF買いへの思惑>

大発会のマーケットには、その年の相場の特徴がしばしば表れることがある。日経平均<.N225>が3万8915円(終値ベース)の史上最高値 を付けた1989年12月29日。翌年の大発会となった1990年1月4日は200円安で始まり、年間では1万5000円下落。バブル崩壊の予兆となっ た。

昨年初日の日経平均は、その前年末に9連騰と急上昇した反動が出て、380円安で始まった。昨年の値幅自体は4100円と、それほど大きいわけではなかったが、前年末の終値水準から下に2400円、上に1700円と上下に振れる荒れた相場展開を示唆するスタートとなった。

今 年の大発会は、終値では42円安と小幅安だったが、一時はマイナス200円安まで下落。その後、一時90円高の水準まで一気に切り返すボラタイルな展開と なった。特段の買い材料は見られず、上海総合指数<.SSEC>が一時3%超の急伸を見せたが、コマツ<6301.T>などの株 価はマイナスで、中国関連株がにぎわったわけではない。

相場を反転させた材料は、日銀によるETF買いへの期待だ。前場終値がマイナス圏だったことで、午後に入って買いが入るのではないかとの思惑が強まった。

「昨年の大納会(12月30日)は、日銀のETF買いが見送られたことが大幅安の一因となった。大発会は逆に日銀のETF買いが入ると期待されるとの見方から、短期筋による押し目買いが入ったようだ」(日本アジア証券グローバル・マーケティング部次長の清水三津雄氏)という。

<インパクト強まる日銀や公的年金の買い>

日銀は昨年10月31日に決定した追加金融緩和策で、ETFを2015年に3兆円購入することを決定した。東京株式市場の年間営業日を250日として、1日当たり「必ず」120億円買うことになる計算だ。

昨年10月31日以降、ETFの買い入れ規模は、それまでの147億円から374─380億円に拡大。そのペースであれば、ほぼ3日に1度は買い入れる必要がある。

東証1部売買代金は2兆円を割り込む水準に減少しており、取引時間中にまとまって出てくる買いの額としては、マーケットに与えるインパクトは十分だ。さらに中央銀行が株式を購入するというアナウンスメント効果は小さくない。

また年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や共済年金など「公的年金」が国内株を増やすポートフォリオへの変更を進めていることから、年間1.7─3.5兆円の資金が流入するとの試算もある。

「いいか悪いかは別にして、日銀やGPIFの買いが日本株相場を下支える要因になることは間違いない。しかし、日銀の追加緩和などを材料にヘッジファンドなどが仕掛けることが予想される。

今年も『官製相場』が続くとみられるが、ボラタイルな相場展開は続くことになりそうだ」と三菱UFJモルガン・スタンレー証 券・投資情報部長の藤戸則弘氏は指摘する。

<株高と債券高の共存いつまで>

実際、現物株と先物を合わせた昨年の日本株の買い主体を見ると、12月15日の週までの累計では、外国人が2278億円と2013年の13兆6771億円から大きく減らしているのに対し、公的年金の売買を仲介する信託銀行は2兆7469億円と大きく買い越している。

現在、日本株を最も保有しているのはGPIFだが、ETF購入を進める日銀は近く日本生命を抜いて第2位の「大株主」となる見通しだ。

「違和感はあるにせよ、GPIFと日銀の動向に神経質になるのはやむを得ない」(国内証券)というのが市場の本音だろう。

「官製相場」は円債市場も同じだ。10年債利回りは過去最低水準の0.3%台に低下。日本経済もしくは日本企業の業績が改善するとすれば、低過ぎる長期金利はいずれ正当化できなくなる。

一方、低い長期金利の方が「正しい」とすれば、今から10年後でさえ、景気や物価は上向いてない状態と言うことであり、株高の方が修正を迫られることになる。

「官製相場」が行き過ぎて、実体経済とかい離するような相場が形成されれば、いずれ、株高と低金利のどちらかが修正される形で大きく変動することになるため、警戒が必要だ。